Ordinary daily lives log

Daily thoughts of ordinary IT consultant

期待するシナリオと現状認識

SIerで働いていた時、今(事業会社)、どちらでも社内業務アプリケーションの企画・導入を中心に行ってきた。社内業務アプリケーションとなると基本的には、「問題解決型」のソリューションの導入ということが中心となる。

ここでいう問題解決は新たな事業を実現する・運営するためのITの仕組みであったり、オペレーションを支える・改善するためのITの仕組みであったりする。

その際に重要だと考えることの1つに「期待のシナリオ」と「現状認識」を明確にしそのギャップを洗い出す、そのギャップに「気づく」ということがある。

なぜかというと「何をやりたいか・どうしたいのか」が明確になり、それと現状のギャップを比較することで初めて「問題」や「課題」が表面化・表出しでき、そのための解決すための手段・段取りが考えられるから。

これは新しい事業計画を考える際、オペレーションの改善を図る際、システムを企画・計画する際、どの仕事のレイヤにおいても重要だと思っている。

  1. 「期待するシナリオ」:新しい事業計画でどんな事業を行いたいのか(=顧客に与えたい新しい体験は何か)、なぜそれを行いたいのか、新しい事業を支えるオペレーションはどういう組織でどういう流れで組み立てるか、という「期待するシナリオ」が明確である必要がある。
  2. 「現状認識」:あわせて今現在の自分(会社)の実力値(顧客基盤はあるか、類似サービスの実績があるか、支える人材・体制はあるか、投入できる予算はあるかなど)である「現状認識」の正確に行えている必要がある。

この1と2のギャップを洗い出すことで

  • 今自分たちができないこと、できていないことを洗い出し
  • どういう仕組みが必要になるのか、何が不足しているのかを検討でき
  • そのために、事業観点・OP観点・システム観点で何を準備する必要があるか
  • またその準備する内容の段取り・機序が明確にできる

のだと思っている。

ただ、こと仕事においてこの1と2のどちらか、もしくは両方があいまいなまま仕事を進めてしまうことが多い。

ゴールがはっきりせず終着点の見えない仕事になったり、ゴールははっきりしているけど、現状を理解していないから何から始めたらよいかわからないということが起きたりする。

特に1の期待するシナリオ・ゴールがなく、現状認識だけをベースに現状のここが問題・課題だと非論理的に導き出して何かやろうとしてしまっていることが多い気がする。だから何を目的にどこを目指しているのかわからない活動が多くなる。

こういうときたいていのプロジェクトや仕事はスケジュール通りに行かなかったり、ヒト・モノ・カネをより投入しなきゃいけなくなったり、周りの理解を得られなかったり、当初の計画からかけ離れて進むことが多い。(そもそもプロジェクトは計画通りにいかないものではあるけど...)

で、これは会社における仕事だけでなく、個にもあてはまると思う。

自分はこうなりたい・こうありたいという期待の姿と、自分の得意・不得意の現状認識、の2つがあって初めて自分としてどうするかを考えていけるのだが、そうはなってないことが多いと思う。

自分これ不得意だからといってあきらめてしまったり、何かそれを改善しようと勉強したりトレーニングしたり、できていないからできるようにやることはあるけど、本当に自分はどうなりたいのかという姿なくやってしまっていることが多い気がする。

常に自分はどうありたいとか、自分の現状を棚卸できていないケースがほとんどだとは思う。だからこそではあるけど、何か自分でこうしようと思った時とかに、なんでそうしようと思ったのか?どう自分はありたいのか?という自問をしていくことも重要なのだと思う。

翻って仕事に戻すと、今行っている仕事は何で行っているのか?何を目的・ゴールとしているのか?を自問し1と2を日々振り返り、仕事の全体感を俯瞰しなおして自分の目の前のタスクに取り組むことがきっと重要なのだと思う。これは今よく言われるアジャイル的な仕事の進め方やウォータフォール的な昔の仕事の進め方どちらにおいても重要だと思う。特にアジャイルではより重要な気がする。

 

仕事・自分どちらにおいても、「期待するシナリオ・姿」を明らかにしてゴールを明確にしつつ、会社・自分の実力を把握しておくことではじめて、そのギャップに気づき洗い出すことができ、段取りを組めて目的を達成することができるのだと思う。

そしてさらに言えば、別に書こうと思うが、これができてはじめて自分の頭のフィルタも正しく動作するようになり必要な情報を取りに行き、必要な情報をインプットすることもできるようになり、新たな気づきになりゴール・目的を見直すきっかけをつかめたり、効率的な段取り(段取り八分)もできることにつながると思う。

どうありたいのか、現状どうなのか、堅苦しくなりすぎる必要はないと思うけど、仕事・日常のどの場面においても意識していきたいものだ。

 

↑ に書いていることを日々思っていたわけだけど、日本のトッププロ経営者の著書にも似たようなことが書いてあった。

事業再生・企業改革に関する話なのでもっとスケールがでかく、話の内容も深いものなので、同列にはまったく語れないが... 一方でどのレイヤにおいても語れる話なのだと再認識できた。

もっと深く、事業再生の観点で勉強したい場合は ↓ の本がオススメです。